イタリア空軍アクロバットチーム「フレッチェ・トリコローリ」…アイルランドにて

イタリア空軍が誇るアクロバットチーム、フレッチェ・トリコローリ。私がヨーロッパのアクロバットチームを実際に見たのはこのフレッチェ・トリコローリが初めてでした。いや~、話には聞いていましたが、飛行展示を目の当たりにして度肝を抜かれました。

フレッチェ・トリコローリ(Frecce Tricolori)とは

レッドアローズ(イギリス)、パトロイユ・ド・フランス(当然フランス)と並び称される、所謂、ヨーロッパアクロバットチーム御三家の一つです。名称のFrecce Tricoloriとは、イタリア語の”Frecce”=「矢」と、”Tricolori”=「三色…イタリアの三色国旗」を組み合わせたものです。”tri”は英語だと”three”、”colori”は”color”ですね。

使用機種

アエルマッキ・MB-339練習機・攻撃機です。フレッチェ・トリコローリ(以下、”フレッチェ”と略します)が使用するのはアクロバット飛行用に翼端のタンクを外したMB-339PAN型機です。

MB-339の特徴を他のアクロバットチームの使用機との比較で端的に言うなら、『性能が低い』ということです(笑)。4ポイントロールなどは、T-4ブルーインパルスのピッ、ピッと切れ味鋭い演技を見慣れた我々日本人からすると、フレッチェは言うことを聞かない機体をパイロットの技量で「おりゃっ!」とロールさせている感じが伝わってきます。

エンジン推力も高いとは言えません。サイズや重量が一回り違うので荒っぽい比較ですが、ブルーインパルスが使用するT-4が推力1.7t弱のエンジン双発なのに対し、MB-339は推力約1.8tエンジン単発です(T-4がそれだけパワフルなのだとも言えますが)。

そんなMB-339ですが、1982年の導入から年月が経っているので遠からず機種更新する話が出おり、後継はM-345になる模様です。新機種でどんな飛行展示を見せてくれるのか楽しみな一方、機体のハンデ(?)を感じさせない素晴らしい演技を見せるMB-339フレッチェに名残惜しさも感じます。

後継機種とされるアエルマッキM-345練習機(2017年パリ航空ショーにて)

フレッチェ・トリコローリの魅力

① 何と言っても数の多さ

機数が多いのはヨーロピアンスタイルの特徴の一つですが、フレッチェはその中でも最多の10機(!)で編成されています。「でも、多いだけで、大味なんでしょ?」と仰る奥さん。違います。「戦いは数だよ、兄貴」のドズル中将方式ではありません。10機が完璧に揃った編隊が宙返りする場面などは鳥肌モノです。

② 途切れることのない演技構成

ヨーロッパ御三家に共通することですが、機数の多さを活かした演技構成のため、常に目の前で何らかの演技を行っていると言っても過言ではありません。なので、撮影しながらレンズ交換するような暇はありません。

③ソリスタが凄い

“Solista”=ソリスタとは10番機のソロです。10機揃っての演技は序盤だけで、以降は1~9番機が4+5に分かれたり9機揃ったりする中、10番機のソリスタが単独で魅せてくれる演技は強烈です。

④アナウンスがイタリアン

チームメンバーのお姉さん(勿論イタリア人)のアナウンスがノリノリで盛り上がります。アイルランドでのショーだったのでアナウンスは英語とイタリア語の両言語でしたが、英語でもRの発音はフォルrrrメーションとかイタリア語式の巻き舌。また、イタリア語でも「アクロバティカ」とか「クアトロ」とか、何となく分かる部分があって楽しかったりします。

アナウンス担当のお姉さん。

⑤音楽もイタリアン

安易にトップガンのサントラやアニソンなどを流したりはしません。芸術の国イタリア。BGMはオペラであります。ずっとBGMを流している訳ではなく、ここぞという場面で流れるのはルチアーノ・パヴァロッティのテノール。ブラrrrーヴォ!

パイロットの前搭乗機種

イタリア空軍の公式サイトらしきところに2018年版パンフレット(PDFで約120MB!)があり、その中に各パイロットの紹介とフレッチェに異動する前の搭乗機種が紹介されていました。それによると階級、ポジション、前搭乗機種は以下の通りでした。

  • #0 – 飛行隊長(中佐)…Tornado IDS 攻撃機
  • #1 – Leader(少佐)… F-16 ADF
  • #2 – 1st Left Wingman(大尉)… EF-2000
  • #3 – 1st Right Wingman(大尉)… AMX 攻撃機
  • #4 – 2nd Left Wingman(大尉)… F-16 ADF・EF-2000
  • #5 – 2nd Right Wingman(大尉)… AMX 攻撃機
  • #6 – 1st Slot(大尉)… AMX攻撃機
  • #7 – 3rd Left Wingman(大尉)… Tornado ECR 電子戦機
  • #8 – 3rd Right Wingman(少佐)… AMX 攻撃機
  • #9 – 2nd Slot(大尉)… AMX 攻撃機
  • #10 – Solo(大尉)… Tornado IDS 攻撃機

戦闘機出身は1、2、4番機のみで、他は攻撃機だったり、1人はトーネードの電子戦機に乗っていたというのが興味深いですね。また、アクロバット≒戦闘機という先入観を持っていた自分が恥ずかしい。

エアショー初日

前日晩のフライトが欠航になったので午前の便でダブリンに到着。ホテルに荷物だけ置いてショー会場に着いたのは午後2時頃でしたが、幸いフレッチェの飛行展示には間に合いました。ただ、この日はどんよりと曇っていて少々残念な天候でした。まあ、天気予報は曇り時々雨だったので飛んでくれただけでも幸いでした。

ショーは海鳥も舞う海上で行われました。当然リモートでの飛来です。

家を出てからここに辿り着くまで30時間以上掛りましたが、この凛々しい姿を見ると疲れが吹っ飛びます。

こんな感じのロケーション。

この日は生憎の曇天で、雲の高さは宙返りするとギリギリといった感じでした。

一番後ろが10番機のソリスタ。

>好天に恵まれた2日目の展示飛行に続きます>

スポンサーリンク

シェアする