高倍率ズームってどうなの?…ニコン28-300と24-120で比較してみた

高倍率ズームレンズは広角から望遠まで1本でカバーできて便利な一方で、解像度が劣る、F値が暗い、AFが遅いなどのデメリットも指摘されます。でも私、2006年にニコンD50を購入してデジタル一眼デビューして以来、ずっと高倍率ズームを愛用しているんですよね。

勿論、いわゆる”大三元”と呼ばれるF2.8クラスや短焦点レンズと比べるとやはり違いは感じるものの、普段のスナップでは十分良く写るし、旅行レンズとしては手放せない存在です。

さて、以前、価格面でメリットがあったことからニコンD750を24-120mmとのレンズキットで購入し(24-120mmは義兄に譲る前提で購入)、既に持っていた28-300mmと”理科の実験”的に興味本位で撮り比べたことがありました。

敢えてD750レンズキットを購入した顛末

今回は28-300mmと24-120mmを同じ条件で撮り比べた結果を振り返ってみました。

撮り比べの前提条件

ニコンD750とレンズ2本、安物の三脚を持って近所の河原でレンズを交換しながら撮りました。勿論フィルターは付けていません。

24-120mmが私の手元にあったのは2週間程。D800E+28-300mmよりも格段に軽快で撮っていて楽しい組み合わせでした。

レンズ

AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR

  • ズーム倍率: 5倍
  • 重量: 約710g
  • 発売時期: 2010年9月22日
  • メーカー希望小売価格: 143,100円
  • 実勢参考価格:109,350円

AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR

  • ズーム倍率: 10.7倍
  • 重量: 約800g
  • 発売時期: 2010年9月2日
  • メーカー希望小売価格: 172,800円
  • 実勢参考価格:114,670円

※実勢参考価格は2018年6月時点のMAPカメラの新品価格を参考にしました。

共に2010年9月の発売だったんですね。フルサイズ普及機(D一桁ではないという意味です)だったD700は2008年7月発売、そしてD800の発売は2012年4月だったことを考えると、ニコンがFXフォーマット用レンズのラインナップ拡充を急いでいた時期だったのでしょう。

カメラと撮影設定

  • カメラ: ニコンD750
  • 画像サイズ: JPEGファイン・Lで撮ったものをリサイズしています
  • ピクチャーコントロール: スタンダード
  • ヴィネットコントロール: オフ(素の周辺減光度合いを確認したかったので)
  • 撮影モード: 絞り優先オート
  • 感度: ISO100に固定(一部例外あり)

周辺減光

AF-S 24-120mm f/4G ED VRの短所としてよく言われるが周辺減光で、今このレンズを使っている義兄も使い始めた時は気になると言っていました。どんな感じなのかをワイド端24mmで見てみましょう。

絞り解放です。
確かにこれは気になりますね。

絞り込むにつれて解消されてゆきますが…

f/8ではまだ残っていて、f/11まで絞ったところでほぼ解消されました。


AF-S 28-300mm f/3.5-5.6G ED VRはこんな感じでした。

広角端の28mmです。

絞り解放。
こちらも負けずに気になるレベルです。

f/8まで絞ると、まあ、こんなものかなという程度までは改善されました。

28-300mmは、そもそも高倍率ズームなのでそれほど期待値が高くない故に悪評が少ないような気もします。対するAF-S 24-120mm f/4は、もっと差があるのかなと思っていたので意外でした。

どちらのレンズも、コストやサイズを勘案しながらデジカメ専用と割り切って、ある程度はカメラ側の処理で補正することを前提に設計されているように思います。義兄はヴィネットコントロールを「強め」に設定したらほぼ気にならなくなったと言っていました(ボディは私が譲ったD800E)。

画質比較

先ずは両レンズ共に28mm、F5.6での全体画像です。

AF-S 24-120mm f/4

AF-S 28-300mm f/3.5-5.6

同じf/5.6だと28-300mmの方が周辺減光がやや多めですが、PC画面で見る分にはどちらもまあ無難な写りです。

続いては、上の写真中央部分からトリミングした画像です。F値毎に24-120mm、28-300mmの順で並べています。

F値を変えながらトリミング画像で比較

絞り解放

ここでは明確な差が出ました。

28-300mmはベールが掛ったような感じで激甘です。

f/5.6

28-300mmは1段絞っただけでまともなレベルまで改善されました。しかし、やはり24-120mmも絞れば解像感はUPします。

f/8

共に似たような感じですが、右下のアンテナのくっきり感を観察すると24-120mmに軍配が上がります。しかしその差は際立ったものではありません。

f/11

24-120mmはf/8と変わらない印象ですが、28-300mmは解像感が若干UPしたような気がします。コントラストは24-120mmの方が若干高いようです。

f/16

どちらも回析現象が出ているようでf/11よりも解像感は落ちていますが、28-300mmの方が悪化の度合いが大きく感じます。

120mmでの比較

それにしても空の色が濁ってますね。D750のEXPEED 4でJPEGオートだとこんなもんです。EXPEED 5のD500は劇的に改善されています。まあ、それは今回の本題ではないので、以下も引き続きJPEG撮って出し画像です。

先ずはf/8での全体画像

AF-S 24-120mm f/4のテレ端です。

AF-S 28-300mm f/3.5-5.6も120mmに合わせました。

これもPC全画面表示で見る限り差を感じません。

以下、絞り値を変えながら撮った写真から手前マンションの上端部分をトリミングしたものです。

絞り解放とf/5.6

24-120mmで絞り解放(当然f/4)

f/5.6

28-300mmはこれが絞り解放、24-120mmは一段絞った状態です。アンテナ描写や、日陰になっている外壁の質感など、明らかに24-120mmに軍配が上がります。

f/8

これも24-120mmに軍配が上がりますが、一段絞ると28-300mmも悪くないですね。

f/11

f/8~f/11で顕著を差は感じないのは広角端と同じ傾向です。28-300mmの方がアンテナが太く見えるなど、やはり24-120mmの方がしっかり解像しています。

f/16

24-120mmは回析のせいかコントラストが落ちています。一方、全般に24-120mmと比べると描写が若干甘い28-300mmはf/8~f/16の間で大きな差を感じません。

AF-S 28-300mm f/3.5-5.6G ED VRのテレ端

このレンズならではのテレ端300mmで、絞りを変えながら比べてみました。この場面ではうっかり感度オートに設定していたようでISOが上がっているショットがあります。

解放のf/5.6からf/16のレンジで4枚撮ってみたところ、何故かf/5.6だけ1/3段程度暗いですね。4枚を並べて全体を見る限り、f/5.6以外は殆ど差は感じません。

上のショット右上からトリミングしたものです。解放のf/5.6は別として、何となくf/8が良いように感じますが…正直良く分りません。

ボケは?

やはり24-120mmの方が背景が柔らかくボケていますが、流石フルサイズだけあって28-300mmもしっかりボケています。

風で揺れる花を手持ちで撮ったので構図がちょっと違いますが…

背景が複雑なこういった場面ではどちらも綺麗なボケとは言い辛いですね。

逆光耐性

24-120mmのニコン自慢のナノクリスタルコーティングに期待して思い切り太陽を入れて撮ってみたところ…

いくらナノクリでも、やはりこの条件だとゴーストが出ました。しかも虹色のゴーストまで出ています。これはちょっと意外でした。

28-300mmの方は予想通りでした。

気軽に撮った中から…

一杯飲みながら24-120mmで絞りと被写界深度の実験。

解放だと左奥の飛行機がボケ過ぎたのでf/8まで絞って撮りました。

最近のカメラは凄いですね。ISO5000でもこういった条件ならノイズが気になりません。


以下の2枚は昨年、グランドキャニオンに行った時に28-300mmで撮ったもの。

ワイド端28mmで目の前の景色全体を撮ったり…

テレ端300mmで、遠くの岩の上に現れた鷹を撮ったり…

こういったシチュエーションでは高倍率ズームの有難さを実感します。

結論: 24-120mmのモデルチェンジに期待

同条件で撮ったショットを拡大して比べるとやはり28-300mmの方がやや劣るものの、f/8以上に絞れば差は僅かです。24-120mmはニコンの”金の環レンズ”としては解像感、ボケ共に物足りないですね。

結論有りきで書いた訳ではありませんが、高倍率ズームの利便性と画質差を天秤に掛けてこの2本を比べるなら私は28-300mmに軍配を上げます。ただ、このAF-S 28-300mm VRって実売価格約10万円と高価な割に高級感が不足していたり、ズームリングのトルク感にムラがあったりと、”持つ悦び”はありません。あくまで道具という感じです。

両レンズ共に2010年に発売なので、特に24-120mmはモデルチェンジを期待したいところです。レンズ技術の進化が目覚ましい近年、望遠側をもうひと頑張りして24-200mm f/4なんかできませんかね? 有れば旅レンズとして最高なのですが。

※2018年10月3日追記
その後28-300mmは売却し、現在は入れ替えで購入したAF-S 18-300mm f/3.5-6.3をD500との組み合わせで使用中です。

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