MRJミュージアム訪問記…MRJの工場見学ツアーに参加

約2年半振りに名古屋に行く用事があったので、あいち航空ミュージアムとMRJミュージアムを訪れました。

MRJミュージアムへの行き方

以前尾張地区に住んでいた私は「小牧空港」と呼んでしましますが(地元では皆そう呼んでます)、県営名古屋空港/名古屋飛行場に隣接した場所にあります。

愛知県西春日井郡豊山町豊場林先1

この時は名古屋駅近くのホテルに泊まっていたのでミッドランドスクエア前(カルティエ前のバス停)からあおい交通のバスで行きました。料金は700円、所要時間は約20分です。車で行くならエアポートウォークの駐車場を利用します。

公式サイトと料金

入場料はMRJミュージアムのみだと\1,000円、あいち航空ミュージアムのセット券は1,500円(共に大人料金)です。せっかく愛知まで行く機会なので当然セット券を購入して両方訪れました。

事前予約が必要

見学日の2日前までに公式サイトから予約し、入館料は予約時にクレジットカードで決済します。私は3月7日の見学を1月10日に予約しましたが、その時点ではどの時間帯も選び放題でした。休みのシーズンは混むと思うので早目のアクションが望ましいでしょう。予約は『見学日の2か月前の同一日00時00分から開始』です。

ご注意

企業の工場、しかも航空機の工場に入る訳なのでちょっと注意が必要です。

  • ミュージアム・工場内での撮影は禁止です。私は色々な自動車メーカーや、また、ボーイング、エアバスの工場も見学したことがありますがどこも工場内は撮影厳禁でした。これは製造業の世界では常識で、工場は各企業のノウハウが詰まった場所なのです。
  • エントランスホールでの撮影はOKです。
  • 身分証明書をお忘れなく。一緒に行ったうちの娘(高校生)は学生証を提示しました。小中学生は健康保険証でOKです。
  • 予約時に送られて来るメールのリンクから予約確認書を開くとQRコードが表示されています。予約確認書をプリントするか、スマホで提示できるようにして受付します。

受付~MRJ工場へ

先ずはエアポートウォーク2階の端から渡り廊下を通ってあいち航空ミュージアムに向かいます。

ライト兄弟のフライヤー号が描かれている渡り廊下。

受付ロビーには懐かしいJASレインボーカラーのMD-90が展示されていました。

MRJ見学ツアーの受付けは右端奥に進みます。

あいち航空ミュージアムと両方予約している場合、先ずMRJの受付に行って入館引換券を貰います。

MRJツアーのIDカードです。工場見学時は常にこれを首に掛けます。

1階に降りてこのバスに乗り、MRJの工場に向かいます。

MRJプロジェクトにはトヨタも出資しています。その関係か、MRJカラーのマイクロバスはトヨタ製でした。ってか、ここで敢えて日産のシビリアン使う必要無いですよね(笑)

案内の看板が空港のマーシャラー姿です。

バスで向かう先はパンフレット左上写真の「MRJ最終組立工場」。

1階のエントランスホール。ここでバッグや携帯、カメラをロッカーに預けます。

見学開始

改めて注意事項の説明を受けて、約90分の見学ツアーが始まります。

ガイドのお姉さんに引率されエレベーターで5階に上がり、床に小牧空港の舗装とペイントを模した長い廊下(手前に”34″という数字や滑走路の白線が描かれている演出)を抜けてシアターに入ります。以降はパンフレットの番号順に説明を受けました。

断片的にですが私は手帳にメモを取っていたので(メモはOK)、それも交えて内容や印象などを記します。

パンフレット

1. シアター

上映内容はMRJ開発関係や初飛行の映像でした。

実機の写真が無いと寂しいので初飛行の1週間ほど前、小牧空港で地上滑走試験を行う姿を見に行った時に撮った写真を載せておきます。

2. 実物大の機体モックアップ…MRJに和のテイストを感じる
  • 館内に日本刀と漆器を展示していた。
    シャープな機体デザインは日本刀から、また、MRJのシンボルカラーである黒・赤・金色は漆塗りの色からインスパイアされたとのこと。操縦席の窓枠周りの塗り分けは歌舞伎役者の隈取りのイメージ。
  • シートは薄いが掛け心地は悪くない。想定される飛行距離を考えればこれで十分そう。シートは薄さだけでなく形状を工夫しているのか、脚元スペースが広い。
  • 客室天井のパネルは富士山をモチーフにしたパターンのデザインで洒落ている。
  • 客席窓は「民間機としては最大級の大きさ」との説明。787ほどではないがA350くらいのサイズはありそう。機体が細いので相対的に窓が大きく感じる。
  • 荷物室を床下ではなく機体後部にレイアウトしている効果で、2列2列配置の小型機としては天井が高い(通路床面から天井の高さは203cm)
  • オーバーヘッドビン(客席上の荷物棚)は大型機並みに広く、機内持ち込み制限MAXのキャリーバッグも収納可。また、リッドの下部がハンドレール形状になっていて機内を歩く際に掴むことができる。
  • コクピットのディスプレイは15インチ液晶パネル4面。モックアップだからなのか、HUD(ヘッドアップディスプレイ)は付いていなかった。

愛知在住時代は名古屋から成田経由で欧米に出張する機会が何度もありました。大抵はA320かB737が運航されている路線ですが、たまに帰路の成田→名古屋のフライトがDHC-400だったりすると当然成田まで乗ってきた国際線の747や777より圧倒的に機内が狭く、心理的にも窮屈でしたがMRJならそういった感覚は軽減されそうです。

3. 翼とエンジンのカットモデル
  • 地上とのクリアランスを稼ぐため、エンジン位置を出来るだけ主翼の前に出して搭載位置を上げるようにパイロンを設計している。パイロンはアメリカのSpirit社製。
  • P&W製GTFエンジン採用によってライバルより20%低燃費との説明があったが…(筆者註:ライバルのエンブラエルもMRJと同じエンジンを搭載するE2シリーズを2019年中にも納入開始予定なので、ちょっと苦しい説明ですね)
  • 主翼断面の展示が興味深かった。内側の細長いL字型リブ(補強用?)は厚さ70mmの軽合金を削り出して加工しているもので、後から溶接やリベットで取り付けているものではない。これによって強度UPと軽量化を実現している。
  • 垂直尾翼の材料であるCFRPと通常の軽合金のサンプルを手に持ってCFRPの軽さを体験できる展示があった。

4. 製造現場の360度画像

一人に一台持たせてくれるタブレット端末を手にはめて上下左右に動かすと製作中の機内を好きな角度で見ることができます。端末を上げると天井の画像が見えたりして臨場感があり、参加者から「ほぉ~」という声が上がっていました。

その他
  • 色々な構成部品とその製造メーカーが展示されていて、自動車業界系の私からすると「へぇー、この会社がこんな部品作ってるんだ」と興味深いものがありました。例えばイギリスのGKN社って私の中では自動車のドライブシャフトなどの金属部品メーカーというイメージだったのですが、客室の窓はGKNエアロスペース製だったりします。
  • 100万点以上の部品で構成されるMRJなので部品の管理も重要。必要な部品が必要なタイミングで届くよう、GLC(Global Logostic Control)という仕組みを作っている。
  • 胴体と主翼は愛知県の飛工場(飛=「アスカ」ではなく「トビシマ」)、複合材製の尾翼は三重の松坂工場で生産される。

説明を聞いていて、MRJのために新規設備を導入したり工場を建てたりした部品メーカーはプロジェクトが遅れてどうしてるのだろう?と心配になりました。設備投資したのに量産が始まらず、資金繰りが苦しい中小企業もありそうですが、三菱が援助したりしてるんでしょうか?

組立工場を見学

2階に降りて窓越しに工場を見学します。見学した工場は2つのエリアに分かれており、一つは胴体や機首、翼や脚などを結合して飛行機の形にする組立工場、もう一方は配線や内装を組み付けたり機能試験を行う艤装工場です。塗装はこの工場からは離れた別の建屋で行います。

量産時には月に10機の生産能力とのこと。この日、組立工場側では3機の作業中、艤装工場側は1機のみでした。艤装工場側の1機は登録番号JA26MJ、MRJの6番機とのことでした。

世界で一般人が見学できる飛行機工場はシアトルのボーイング、トゥールーズのエアバスと、ここMRJミュージアムのみだそうです。前述の通り私は両方訪れたことがあり、MRJの工場なら大体この位だろうと予想していた規模でしたが、航空機の工場を初めて見る人なら建屋の大きさに圧倒されるのではと思います。

ミュージアムショップ

工場見学終了後は1階に戻り、10分程度の自由時間があります。

ミュージアムショップにはここ限定の商品もありました。

これはミュージアムショップ限定品ではありませんが、私はタグを集めているので記念に一つ購入しました。

“REMOVE BEFORE FLIGHT”ではなく”The Game Changer”と書いています。早く世界の空を飛んで”Game Change”してくれよ~

自由時間後は再びマイクロバスに乗り、あいち航空ミュージアム前で解散です。

最後に

大幅なスケジュールの遅れや開発費用の増加など、このところ明るい話題の少ないMRJですが、以前この地域に住んでいた私は会社を休んで初飛行を見に行ったりしたこともあり、何とかMRJプロジェクトが上手く行って欲しいと願っています。

しかし、もどかしさと期待感が入り混じった複雑な感情を持ちながら見学したのも正直なところです。

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