【試乗記】プジョー308SW…ドイツで1000kmをドライブ

前回までのエントリーではシュツットガルトのポルシェ博物館に行った際のことを紹介しましたが、その際に乗ったレンタカーのプジョー308SWについてインプレ的に記しておきます。フランクフルト空港で借りてドイツ南西部を中心にあちこち周ってミュンヘン空港で返却。期間は丁度1週間、総走行距離は1,087kmでした。

308SWを借りた経緯

利用したのはAVISレンタカーで、VWゴルフクラスということでWeb予約を入れていたのですが行ってみたら308SWが準備されていました。

本当はドイツで現行ゴルフに一度乗ってみたかったのでちょっと残念な気持ちもあったものの、小生、20年以上前に愛車としてルノー5(’90年式のシュペール・サンク)に3年ほど乗っていたことがあるので最近のフランス車がどんな風なのかを味わってみました。

スタイリング

ちょっと没個性的ですがフランス車としては気を衒わないのがプジョーの伝統。大口を開けたような近年のアグレッシブなプジョーマスクは馴染めなかったので、この程度にエグさを抑えたスタイルの方が個人的には好みです。

景色の良いところで写真を取りそびれてしまい、返却間際に殺風景なアウトーバーンのPAで撮りました。

しなやかな乗り心地と素直な操縦性

さすがに設計速度の前提も違うし時代も違うので私が乗っていたルノー5のように柔らかくはありませんが、ゴツゴツ感とは無縁のしなやかな乗り心地にフランス車らしさを感じます。

今やフランス車もグローバル市場を意識しなければ生き残れない時代、嘗てのふんわり&ねっとりした特有の柔らかさまでは無いものの、街中、田舎道、アウトバーンなど、とにかく速度を問わず「温厚」な乗り味で快適でした。

かと言って、アウトバーンで高速クルーズしても不安を感じることは無く、高速域での安定性も優れています。高速走行については後述します。

コーナーを攻めて楽しむようなキャラクターでは無い乗用車ながら、ドイツの田舎の丘を縫うような道を走っていると気分の良い素直なハンドリングです。電動パワステを意識させないナチュラルな感触にプジョーのセッティングや味付けの上手さを感じます。

必要十分なエンジン性能

レンタカーなので最初はどんなエンジンが載っているのかを知らず、「N/Aの1.5リッタークラスだとしたらトルクはあるけど、2リッターならちょっとパンチに欠けるなぁ」と思いながら運転していました。気になったので休憩したついでにボンネットを開けてみたら、吸気系の太いホースと遮熱カバーがあり、ターボエンジンだと初めて気付きました。

で、その場でプジョーのサイトをスマホで検索して漸く1.2リッター・3気筒のダウンサイズターボだと分かった次第です。

そのぐらいターボラグの無い自然な回り方をするエンジンで、低速からトルクは十分です。一方で高回転まで回りたがるタイプではなくスポーティーさには欠けます。まさに(良い意味で)実用車のエンジンといったところです。

尚、3気筒ですがエンジンマウントのチューニングが適切なのでしょう。アイドリングでも不快な振動は感じませんでした。

ディーゼルの”BLUE HDi”に対し、1.2ガソリンターボは”PURE TECH”というバッジが付いています。最高出力130psはこのクラスとしては標準的な値ですが、トルクが最大トルク230Nm(≒23.5kgm)を1,750rpmで発揮するというのは大したものです。

トランスミッション

5速MTでした。
近年は普通の乗用車でも6速MTが増えていますが、スポーツモデルではない乗用車ならトルクバンドは広いですよね。それなら5速の方が一つのギアで長く引っ張れて気持ち良いのと、ある程度ステップ感がある方が走らせていてメリハリを感じるので、スポーツカーでもない限り乗用車のMTは5速がベストというのが私の持論です。

シフトフィールはしっかりしていて悪くありません。しかし、クラッチ合わせは問題無いのですが、半クラ領域のストロークが私の感覚には合わず、左足が妙に疲れました。クラッチペダルは重く無いのですが。

尚、日本仕様は6速AT、我が国が誇るアイシンAW製で、MTの話は余談です。

アウトバーンにて

速度制限が無い区間で何度も最高速を試してみても、どうしても190km/hを超えません。下り坂でアクセルをベタ踏みしても191km/hが最高だったのでリミッターが作動しているのは間違いありません。

ナビと一体のモニター(後述します)で車両の各種設定をできるようになっていて速度リミットを設定できる項目もあるのですが、その設定からも制限が掛っていないことは確認していました。

リミッターが作動しなければ200km/hに届く実力はありそうですが、標準タイヤの規格も考慮して最高速を抑えているのかも知れません。

履いていたタイヤはピレリの205/55 R16オールシーズンでした。

実際のところ、近年のアウトバーンは混雑している上に工事も多いので、160km/h程度で巡航できる性能があれば十分に事は足ります。

でも、こっちが最高速で飛ばしていても後ろからグングン迫って来るドイツ系に道を譲ることも多々有って、この地での高速運転文化を垣間見た気がしました。

尚、かなり飛ばした道中でも(アウトバーンの制限内ですよ)、高速域での安定感は中々のものでした。

燃費

トリップメーターのヨーロッパ式表示によると6.4L/100km≒15.6km/Lでした。アウトバーンで大渋滞に巻き込まれたり、空いている区間ではかなり飛ばしたことを考えると悪くない値だと思います。

インテリア

インパネ周りは、「無理して個性的にしなくても…」と言いたくなる出来栄え、率直に言うと問題作です。

特に文句を言いたいのはこのナビを中心とした”i-Cockpit”なる集中操作パネル。これが非常に使い辛いのです。

エアコンの設定温度を少し変えるだけでも液晶パネル左上のアイコンを押して一旦この表示を出さなければなりません。

停車中ならまだしも、揺れる走行中に運転しながらタッチパネルを操作するのは至難の業。使い辛いどころか走行中の操作は危険でさえあります。

画面パネルの下にはエアコン操作パネルぐらいは配置できるスペースがあるのですが…

トリップメーターも画面から呼び出さないとリセットできません。私は満タン給油する度にトリップをリセットする習慣があるので毎回イラっとさせられました。

オーディオ関係の操作も同様です。ただ、ラジオの選局やボリューム程度ならステアリングのスイッチで操作可能なのが救いです。

ナビ自体の使い勝手は可も無く不可も無くといったところでした。

アルファベットで都市名やストリートの名前を出して番地を入れればOKです。

交差点やラウンドアバウトのガイダンスはタイミングも良く適切でした。

もう一つ疑問符が付くのがステアリングの上端越しにメーターを見る、”ヘッドアップインストルメントパネル”というレイアウトです。

これは広角側で撮った写真なので実際にメーターがここまで遠くに見える訳ではありません。しかし、このレイアウトのためにステアリング径が小さく、位置も不自然に低いのです。

ドライビングポジションを何度か合わせ直してみたものの、私には最後までしっくりしませんでした(ATならポジションをクラッチペダルに合わせる必要が無いので、このコメントも参考まで)。

些細な点ですが不満点をもう一点。

カップホルダーは浅過ぎて使い物になりません。

質感については、「フランス車も立派になったもんだ」と、”プラスチック感”全開のルノー5に乗っていた私は感慨を覚えましたが、冷静に見てもこのクラスの車としてはまずまずのレベルだと感じました。

トランクスペースは十分です。大型のスーツケースでも詰めれば3つは載りそうです。

このレバーを引けば後席が収納されます。

巻き取り式のトノカバー。

身長178の私がシートを合わせた状態でリアのスペースはこんな感じ、十分な広さです。

広大なパノラミックルーフ。

前席でも気持ち良いですが、後席からの方が更に「空」を楽しめます。

勿論、パノラミックルーフのシェードはスイッチを押して閉めることもできます。

取り回しや室内の広さや雰囲気は、私が昔乗っていた2代目レガシィによく似ていると感じました。調べてみたら、全幅は308の方が11cm広いですが全長はほぼ同じでした。

日本仕様と異なる点

グレードにもよるのだと思いますが、私が借りた308はスマートエントリー+スタートボタンでのエンジン始動ではなく、キーシリンダーを回してセルを回す昔ながらの方式でした。

パーキングブレーキは電子ボタンではなくハンドレバー式。MT車での坂道発進は微妙なタイミング合わせが出来るので、やはりこのタイプが一番やり易いです。

治安の悪い地域もあるヨーロッパ仕様だからなのか、給油キャップはキーで開ける方式でした。リッドはドアロックと連動しています。

給油中のキャップはリッドに差し込みます。

良いクルマですが、i-Cockpitは何とかして…

  • 速度を問わず快適な乗り心地、アウトバーンのハイペースでも不安を感じさせない安定感、軽快でナチュラルなステアリングフィール、これらを絶妙なバランスで実現させている。
  • 使い勝手が良く、剛性感も十分なワゴンボディ。
  • パワフルとまで言えないながら扱い易いエンジン特性(ターボディーゼルは絶倫的にパワフルらしいので一度乗ってみたい)

と、誉める点は多々ありますが、インパネ周りは問題作です。メーターとステアリングのレイアウトは長く乗れば慣れると思います。しかし、i-Cockpitは「一体、誰がOK出したの?」という完成度の低さ。これがネックで308の購入を見送る人もいるんじゃないでしょうか。

1週間1000キロ乗ったので愛着は湧いたものの、いかんせん”i-Cockpit”は出来が悪過ぎます。レンタカーなので許せましたが、自分の愛車として付き合う車と思えませんでした。

クルマとしての出来はとても良いだけに、これは惜しいと感じます。

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