SONY α9で高速飛行するアクロバット機を撮影…ソウル航空ショーにて

2006年にソニーがコニカミノルタからカメラ事業を譲り受け10年以上経ちますが、最近の躍進は目覚ましいですね。NEXシリーズやトランスルーセントミラーなど、色々と試行錯誤がありましたが、フルサイズミラーレスのα7あたりからでしょうか、キヤノン・ニコンというBIG 2の後追いではない独自性が評価を受け、それが結果につながっているように思います。

ただ、私は風景やスナップも撮りますがメインの被写体は飛行機なので、これまでオリンパスEM-1(初代)やパナのGF1、GF2を使ってミラーレス機のAF性能に失望した経験もあり、αは自分には縁の無いカメラだと思っていました。

さて、今年は2年に1度のソウルエアショーが開かれる年でした。また、5月末にはαシリーズのフラッグシップ機としてα9が発売されました。ネット上の記事を読むと、AF/AE追従で20コマ/秒という高速連写が可能であるとか、これまでのミラーレスとは異次元のAF性能であるなど、それが本当なら凄いことだけど、ミラーレス機で本格的に飛行機を撮るのはまだ無理だろうと思っていました。

ソニーコリアのα9試用イベントに参加

そんな中、ソニーコリアが主催する、α9で飛行機を撮る試用イベントがあるのをカミサンが見つけてくれて、興味半分で応募してみたところ見事選ばれたので参加してきました。しかも被写体は比較的撮り易い旅客機ではなく、ソウルエアショーで展示飛行する米空軍のF-22や韓国空軍のアクロバットチームであるブラックイーグルス等、カメラの性能を試すには申し分無い条件です。

以下にインプレッションを記しますが、試用できたのは3時間程度で、また、設定は極力無難な状態で撮りました。途中で弄ったのはシャッター速度、連写速度、露出補正程度です。その前提で読んで頂ければと思います。

天候は、上に載せた写真の通り残念ながら曇りでしたが、むしろ晴天よりもカメラの性能を試すには良かったかも知れません。

レンズはFE 100-400mm F4.5-5.6 GMです。標準ズーム系も試したかったですが、今回はあくまで飛行機撮影がメインということでこれ一本での撮影です。最近の私が飛行機を撮る際は主にニコンD500+80-400mmを使っていますが、その前はD800E+80-400mmで撮っていたので、ズームリングの回転方向がニコンと同じということもあり、画角も含め、それほど違和感無く使い始めることが出来ました。

AF性能

「これなら飛行機撮影にも使えると言えるが、もうひと頑張りが必要」というのが私の結論です。

私が現在使っているD500のAF性能はニコンの一眼レフとしては現時点で最高と言えますが、それでもたまには外すこともあります。それと比較するのは酷かもしれませんが、α9は外す頻度がD500より確実に高いと言わざるを得ません。ただ、外した場合でも直後のショットではすぐリカバーして合焦したりします。1秒に60回、AE/AFを演算しているからでしょうか。

例えば、このように外した直後…

バッチリ合焦しています。シャッターは連写で押しっ放しです。

また、ボントンロールをシャッター押しっ放しで連写してみたところ…

(1) OK

(2) NG

ピンボケが分かり難いので(2)の2番機と4番機を拡大

(3) OK — (2)の直後のショットです。

(4) OK

(5) OK

(6) OK — (7)の直前のショットです

(7) NG — (6)の直後のショットです

(7)の2番機と4番機を拡大

(8) OK — (7)の直後のショットです。

(9) OK

(10) OK

(11) NG — (10)の直後のショットです

(11)の2番機と4番機を拡大

(12) NG — 2枚連続で外しています

(12)の2番機と4番機を拡大

(13) OK — (12)の直後のショットです。2枚外した後に合焦しています。

私が今まで使ってきたカメラだと、一度外すと連写中はリカバーしない場合が多かったですが、α9は瞬間的に外すことがある一方、すぐにリカバーします。やはり1秒に60回、AE/AFを演算している効果でしょう。尚、上の写真は38枚連写した中から分かり易い例を抜粋したものです。

これは低速連写(それでも5コマ/秒)で撮ったものだったと思いますが、1枚だけ、しかも完全に外した後、すぐに合焦しています。

ちょっと重箱の隅を突くような意地悪な観察をしてしまいましたが、D500を基準に敢えて点数を付ければ、D500: 95点、α9: 80~85点といったところでしょうか。まだ「一眼レフに匹敵」とまでは言えませんが、ミラーレスもここまで来たのか、と驚きました。

高速連写

20コマ連写というのは異次元の経験でした。まあ、ご覧下さい。

Exifデータを見たところ全て15時54分45秒、つまり1秒以内の機動でした。α9の高速連写も凄いけど、こんな機動を瞬時に行うパイロットも凄い。尚、カメラの日時設定が狂っていて、後から見ると2017年1月1日になっており、また、時刻は13時前後だった筈です。

画質

先ずはJPEG撮って出し。
S/S: 1/1000sec., f:5.6, ISO: 200, 400mm, 露出補正無し。

やはり曇天だとこうなってしまいます。編集前提でなければ+補正が必要な条件でした。

LightroomでRAWデータのトーンカーブとシャドウのみを軽く補正したのが下の写真です。

フルサイズでは400mmでも不足する遠い被写体。尚、この写真でご覧の通り、残念ながら私が借りたカメラのセンサーには汚れがありました。

解像感を試すのも兼ねてトリミングしてみました。上の写真からかなり大胆に切り出してみましたが、トリミング後でも、私のPCモニター(27型)で全画面表示する分には不満を感じない画質です。


以下、自由作例として。

1/160secで流し撮りを試みたものの失敗。やはり急上昇する飛行機の流し撮りは難しいものだと実感。まだまだ研鑽が足りない私です。

ここまでカメラについてばかり書きましたが、このFE 100-400mm F4.5-5.6 GMというレンズはクリアでヌケが良く、解像感も絞り解放から安心して使える素晴らしいレンズと感じました。私のニコンAF-S 80-400mm f/4.5-5.6G ED VRは、ある程度絞らないとテレ端の解像感がやや甘いので羨ましく感じました。

ファインダーと操作性

操作性は、私が使い慣れていないということを差し引いても改善の余地があると感じました。一方でファインダーは良く出来ています。

(1)操作性

①グリップ

小さ過ぎて小指がはみ出します。特に今回のように重いレンズを付ける場合はバッテリーグリップか、せめてエクステンショングリップはMustです。当日は人差し指が痛くなりました。

== 別売りのエクステンショングリップ ==

②露出補正ダイアル

ファインダーを覗きながらだと、すぐ横のコントロールダイアルと紛らわしい。

③シャッターの感触

どこまで押せばシャッターが切れるのか、ボタンの反発力から感じ難い。意図せずシャッターが切れてしまったショットが少なからずありました。

④上面にも液晶表示が欲しい

下の写真は私のD500で、上面に液晶があるとカメラの状態を瞬時に把握できます。α9も背面液晶やファインダー内に随時表示させることが出来るものの、背面液晶は撮影した写真を確認したりメニューから設定を変える際にも使うので、やはり独立した表示が欲しいですね。

⑤メニューボタンが押し辛い

使用頻度が多いボタンなのにファインダーの真横、且つ、カスタマイズ3ボタンの横にあって直感的に押し辛い。配置かボタンの形に改善の余地があります。

(2)ファインダー

普段一眼レフを使っている私でも違和感を感じないほどEVFの完成度が高いと感じました。また、特に今回のような曇天の場合、露出をカメラ任せにすると飛行機が黒つぶれしてしまうのが怖いのですが、EVFだとファインダーを見ながら露出状態をある程度把握できるというメリットがあります。

ただ、ブラックアウトフリー(シャッターを切っている間もファインダー画像が途切れない)というは良いのですが、特に電子シャッターで撮っていると、いつシャッターが切れたのか分かり辛いというデメリットもあります。例えば、シャッターが切れた瞬間に何らかの表示をするなどの工夫をお願いしたいですね。

ソニーコリアさん、ありがとう!

今回のイベントは10/17~18に掛けて開かれました。参加者は20名でしたが、応募者はかなりの人数だったようです。そんな中に何故、日本人である私が選ばれたのか謎ですが(私が唯一の外国人参加者でした)、韓国は飛行機写真マニアが少ないので私を選んでくれたのかも知れません。

10/17(火)の夜7:00からソニーコリア本社で事前説明会があり(勿論全て韓国語…汗)、α9の特徴や使い方についての説明を受け、翌日の撮影に臨みました。下の写真はソニーコリアのロビーです。

流石は世界のソニー。ソウルのマンハッタンと呼ばれる汝矣島(ヨイド)という一等地にあり、窓からは国会議事堂も見えます。


「簡単な食事をご用意しています」との案内でしたが、シェラトンホテルからの立派なケータリングでした。
f:id:prugio:20171104154458j:plain

日系企業らしく、寿司もありました。

盛り付けが美しくなくてスミマセン。久々に食べる寿司も旨かったし、右下の骨付きカルビは絶品でした。

ここで参加者全員が実機を操作しながら、21時頃まで説明を受けました。

翌日はエアショー会場から少し離れた地下鉄駅で集合し、貸し切りバスで会場に向かいました。

ついに写真家になってしまった私です。このパスを首からぶら下げて会場に入りました。

会場内のブース一角でカメラを受け取り、飛行機写真家のイ・ジャンス(이장수)さんから飛行機撮影のコツや留意点などの講義を受けました。イ・ジャンスさんは日本の月刊エアライン誌などにも寄稿されているので日本でもご存知の方がいらっしゃると思います。私の韓国語はまだまだ下手なレベルですが、直接お話も出来て、名誉なことでした。

α9+100-400mmがずらりと並ぶ姿は壮観でした。

飛行機以外に撮りたかったのがこの写真です。私が所蔵するミノルタα-7000(この写真を撮るためだけにわざわざ持って行きました)と最新のα9との2ショット。αシリーズのご先祖様であるα-7000は1985年発売なので、32年という歳月を経て現在のα9がある訳です。

イベント終了後に返却された20台。このところやや値段が下がってきていますが、ざっくりボディーが50万円、レンズが30万円とすると80万円 x 20台 = 1,600万円!!

エアショーでの撮影後はバスでイタリアンレストランに移動して遅めのランチを食べながら歓談したのですが、最後に参加者一人ずつ挨拶と所感を述べることに。焦りましたが頑張って韓国語で話しました。何を話したのか??よく覚えていませんが、私の下手な韓国語を暖かく聞いて下さった皆さん、有難うございました。

ところで、ソニーコリア本社の受付を何気なく撮ったのが下の写真です。

その時は気付きませんでしたが、カウンター後ろの写真はソニー共同創業者の井深大氏と盛田昭夫氏です。今やグローバル企業になったソニーですが、日本人として何か嬉しいですね。

出典: SONY EUROPE

で、どうするの?買っちゃう?

ボディーのコンパクトさや連写性能に魅力を感じるものの、まだ、”全幅の信頼”を置くことができるレベルとまでは言えないAF性能と、操作性に改善の余地があることから、今回は見送ります。しかし、飛行機撮りだけでなく、例えばマウントアダプターを介してオールドレンズとαの組み合わせて街のスナップを撮ったりするのも楽しそうなので、今後のソニー(α9ii?)に期待です。

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