ヘンリー・フォード博物館訪問記②…歴代大統領専用車やアメリカの自動車史

今編ではHenry Ford Museumの自動車関係の展示を中心に紹介します。個人的にこの博物館の目玉展示と思うのが歴代のアメリカ大統領専用車で、J.F. ケネディ大統領が1963年、ダラスで暗殺された際に乗っていたリンカーンも展示されています。

大統領専用車

Presidential Brougham(1902年)

セオドア・ルーズベルトが使用した馬車です。これ以降、大統領専用車は自動車に取って代わられます。

1939 Lincoln

フランクリン・ルーズベルトとトルーマン大統領が使用したもの。両大統領とも日本が「鬼畜米英」と言っていた第二次大戦期の人物ですね。

1950 Lincoln “Bubble Top”

トルーマン、アイゼンハワー、ケネディーが使用したもの。ルーフが透明になっているのでバブルトップと呼ばれています。

1961 Lincoln “Kennedy Car”

1963年、JFKがダラスで暗殺された時に乗っていた車そのもの。大統領がオープンカーでパレードするなど現在では考えられないことです。

また、暗殺事件後は防弾やセキュリティー機能向上のため改造され、引き続き大統領専用車として使用されたそうです。日本なら「縁起が悪い」と、再び使用することは無かったことしょう。

後部にはシークレットサービス用のステップとグリップが備わっています。

1972 Lincoln “Regan Car”

1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件の時に乗り込もうとしていたのがこの車。フロントガラスは防弾層が経時劣化しているようで白く変色しています。

この事件の際、銃撃で負傷したレーガン大統領に緊急手術を行おうとする医師達に「君たちが共和党員だと良いんだがねぇ」と、重傷にもかかわらず冗談を言ったのは有名な話です。実は医師達は皆民主党支持者だったものの、「大統領、我々は今日だけは共和党員ですよ」と応えたそうで、何ともアメリカらしい話です。

古き良き時代のアメリカ車

T型フォードの組み立てを体験する子供達。

天井から吊るされている自転車、サドルの数を数えたら10人乗りです。

手前のグリーンの車は初期のパッカードですね。こういった感じでびっしり展示されているので細かく見ていると時間が幾らあっても足りません。

以下、私の印象に残ったものを中心に紹介します。

Lincoln Zephyr(1936年)

オイル漏れの為かメンテ中でした。

Chevrolet Corvette(1953年)

初代コルベット。歴史的な車であればライバルであるGMのモデルでも分け隔てなく展示しています。

Cadillac Eldorado Biarritz(1959年)

巨大なテールフィンの高さが頂点に達したアメリカ車爛熟期のキャディラック。

フロントの写真を取り忘れたので、後日トヨタ博物館で撮ったものを載せます。

単なる幼稚なデザインで終わっていないことが当時のGMデザイン陣のレベルが高かったことを物語っていると思います。

Ford Mustang(1965年)

初代マスタングの最初期量産ロット車と書いていた気がします。

Ford Taurus(1985年)

今見ても古さを感じさせずスタイリッシュな初代トーラス。近未来のデトロイトを舞台にしたロボコップでもパトカーとして使われていました。

トーラスのデザインプロセス。

大型トレーラー

広大なアメリカの物流を担うのが大型トレーラー。ハイウェイを走っていると頻繁に遭遇します。

ピックアップトラック

アメリカ人はピックアップが好きで、F150はフォードのベストセラーだったりします。下の車はその先祖と言えるかも知れません。

ウインナーソーセージの宣伝車(1952年)

アメリカの老舗食品会社、オスカー・マイヤーの宣伝車。車台をパンに見立てた、走るホットドッグのようです。

申し訳程度ながらテールランプもちゃんと付いています。しかし立派なソーセージですなぁ。角度も絶妙(以下自粛…)

アメリカの自動車史100年

“100 Years Of The Automobile In American Life”という壮大な展示。順路に沿って進むにつれて時代が進むという趣向です。

VWビートルのアメリカ上陸。

GMから本格的なATである”HYDRA-MATIC”トランスミッションが登場。

シボレー・コルヴェア(1960年)

アルミ製の空冷水平対向6気筒エンジンをリアにマウントするという意欲的な設計で販売は好調だったものの、消費者運動家のラルフ・ネーダー氏(ちょっと「菅直人」的な人?)の、操縦性が危険だという告発に対し、GMは探偵を雇ってネーダーのスキャンダル探しをするという姑息な手を使った(いかにもGMらしい話です)ことが露見して話がこじれ、結局一代で終わった悲運の車。

実車を見た印象は、やり過ぎ感が無くスタイリッシュで、今でも愛好家が多いと言うのも頷けるものでした。

コルヴェアの右上に展示されているのはお馴染みの初代トヨタ・コロナ。徐々に日本車が低燃費と高品質を武器に勢力を拡大してゆきます。

そして、日米貿易摩擦を受けて日本車はアメリカでの現地生産を開始します。左のアコードはホンダのオハイオ工場での量産1号車です。

アメリカ自動車産業の発展だけでなく、負の部分も淡々と紹介する良い展示でした。

次項ではショーモデルやプロトタイプ、レーシングカーを紹介します。

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