【BMW博物館訪問記②】 市販車やモータースポーツの歴史…ブラバムBMWに感動

前編ではミュージアムの概要や戦前のものを中心にお伝えしましたが、続いては今に繋がるBMWの歴史やモータースポーツなどを紹介します。

歴代のロードスター

3/15 PS(1930年)

前項で紹介したものと同様、オースティン7のライセンス生産(or 発展型)ですが、スポーティーで洒落たオープン2シーターです。

確か、創業期のジャガーもオースティン7に独自デザインのボディーを架装するビジネスから発展したと読んだことがあるので、自動車の歴史に果した役割は大きいと言えますね。

315/1(1934年)

流石はエンジン屋のBMW、1934年時点で自社開発の1.5L ストレート6を積んでいます。また、キドニーグリルのアイデンティティも既に確立していたようです。

328(1936年)

高性能車メーカーというBMWの名声を決定的なものにしたモデルで、328の派生形はミッレミリアやルマンでクラス優勝を果たすなど、レースでも活躍しました。因みに、車名は328ですが、エンジンは1971ccのOHVストレート6で、3シリーズの2.8Lではありません(笑)。

507(1956年)

1956年、日本では初代クラウンが発売された年でした。戦後復興期だったドイツでもこんな3.2L V8エンジンを積んだ高級スポーツカーを買える人はごく一握りだったはずで、外貨稼ぎを狙ったモデルでしょう。デザインは初代日産シルビアのデザイナーとして日本でも知られているアルブレヒト・ゲルツ氏によるものです。

Z1(1988年)

ドアの開閉が横開きでなく、窓のように下に格納されるというユニークな方式です。また、外装パネルが全てFRP製だったり、生産は2年間の限定だったりと、BMWにとっては実験的な試みだったようです。

Z3(1995年)

これは日本でもちょくちょく見掛けますね。生産はサウスキャロライナ州で行われたMade in USAですが、この展示車を見た限りでは「アラバマ・メルセデス」と低品質を揶揄された初代ベンツMクラスとは違い、安物感はありませんでした。デザインはCG誌に毎号コラムを寄稿している(軽妙な文体が楽しくて私がCG誌で一番好きな連載です)永島譲二氏によるものです。

Z8(1999年)

007のボンドカーと言えばアストンマーティンが定番ですが、アストンに元気が無かった’90年代、BMWがタイアップしていた時期がありました。展示車のナンバーにご注目。「007」です。但し、Z8の完成が映画の撮影に間に合わず、劇中に登場したのはZ8の外装を纏ったコルベットだったそうで、この展示車ではありません。

BMWの苦境と復活

第二次大戦までは航空機エンジンや少量生産の高級車を作っていたBMW。しかし戦後は高級車路線ではジリ貧に陥り、ベンツが救済合併する案まで検討されたと言います。

BMW イセッタ(1955年)

そんな苦境の折、イタリアのイソ社からライセンスを得て庶民向けに生産したのがこのイセッタでした。ドアは前方向にバカっと開きます。

2002ti(1968年)

BMWファンの間では「マルニ」の愛称で呼ばれる小型セダン。今日の3シリーズに繋がるコンパクトなスポーツセダンですね。元は1961年に発売された1500で、これが大ヒットして漸くBMWは息を吹き返します。

当時のスナップ写真が展示されていました。

ルフトハンザの727や、細いエンジンから黒煙を曳きながらアプローチする737など、ヒコーキファンである私は胸熱なショットです。

ビッグサルーンの進化

渡り廊下の向こうは1939年から1998年の7シリーズまで、現代の7シリーズに繋がる歴代の大型系モデルが展示されていました。

プロペラマークとキドニーグリルは不変ですが、時代を経るごとに徐々に低く、長く、スマートに変化したことが分かります。猿から猿人や原人を経て人間に進化したような感じですな。

各車の後ろにワンポイント解説が書かれています。

335 (1939年)

BMW初の上級クラスセダン。

502 (1954年)

2580ccのV8エンジンで、当時ドイツ最速のセダンだった(らしい)。

3.3Li (1968年)

シルキー6と称賛された新開発のSOHC 直6エンジンを搭載したモデルです。”The first luxury model for sporty drivers”というフレーズは、ジャガーのようなXJのような高級スポーツセダンもあった訳で、ちょっと苦しいような気もしますが…

745i (1980年)

排気量は3500ccなので本来は735 turboとなる筈ですが、3.5L×ターボ過給で4.5L相当と言うのがBMWの説明。今でこそベンツもBMWも「N/Aなら大体何cc相当」というネーミングをするようになりましたが、当時、450SEなど、ベンツVモデル8へのマーケティング的な対応という面もあったことでしょう。

750i(1987年)

BMW初のV12エンジン搭載セダン。バブル期の日本で良く見掛けたものです。

730d(1998年)

7シリーズ初のディーゼルエンジン搭載モデル。

モータースポーツと”BMW M”

1940年のミッレミリアで優勝を果たした328ツーリングクーペ。

残念ながら消滅してしまったブラバムF1チームですが、長年チーフデザイナーを務めた鬼才、ゴードン・マレーの大ファンである私がこの博物館で最も感動したのがこれです。

ブラバム BT52(1983年)

1983年、ルノーに乗るプロストとの接戦を制し、ネルソン・ピケがワールドチャンピオンを獲得したマシンです。

白と紺色のクールなカラーリングとシャープな造形。素晴らしい。

ウィングカーが禁止されフラットボトムが義務付けられたこの年、マレーは重量物を極力リアに配置してトラクションを確保するというコンセプトでマシンをデザインしました。この姿から「イカ」と渾名されたという話もあります。

ザウバーBMW F1 1.06(2006年)

壁に掛けて展示されていました。カラーリングはブラバムに通じるものがありますね。

歴代のツーリングカーレース車両

ネズミ色に水色のラインがシブい2000ti。ライトに貼られた飛散防止のテープが時代を感じさせます。

ところで、BMWはカストロールと仲良しのようで、我が家の530iや116iのオイルキャップにもCastrolのロゴが入っていました。

BMW “M Power”

M1(1978年)

リアのビーエムマークが左右に付いているのがお茶目なM1。

ランボルギーニと共同開発して委託生産しようとしたら同社が経営危機に陥り、477台しか作られなかった悲運のスーパーカー。しかし、搭載していたM88型3.5Lエンジンはその後のM5やM6にも積まれた誉れ高き名機です。

テールライトは6シリーズからの流用っぽいですね。

M5(1985年)

M1のエンジンを5シリーズのボディに積んだ、まさに「羊の皮を被った狼」。大袈裟なオーバーフェンダーやエアロパーツで装っていないのが渋い。

E46 M3(2001年)

展示されていたのはボディーパネルの一部がカーボン製のCSLだったと思います。

私がバイクに乗っていた頃のBMWはツアラーが多かったものですが、最近はスポーツ路線も展開しつつあるようです。

オートバイ系

で、バイク系なんですが、このようにガラス越しに展示されていてしっかり観察できなかったのは少々残念でした。

コンセプトカー

Clean Energy 1

水素エンジンのコンセプトカー。燃料電池ではありません。

クリス・バングルっぽさ全開の、1シリーズのデザイン・コンセプト。

凹面とシャープなエッジを組み合わせる手法が特徴的です。

Xクーペ・コンセプト

SUVとクーペの融合を目指したものらしいです。

ミレ・ミリア・クーペ(2006年)

う~ん…単純にカッコ良いかは微妙ですが、戦前のBMWテイストと現代的なエッジの効いたフォルムを上手く融合させているのは確かです。

Z22コンセプト(1999年)

カーボンファイバーのボディ、3シリーズ並のサイズでホイールベースは7シリーズ並みというハッチバック。

ターボ・コンセプト(1972年)

後のM1に通じるデザインです。

その他の展示…エンジン・広告・クレイモデルなど

1. エンジン

解説を全部読んでいるときりが無いのでざっと眺めながら観覧しました。

これはシルキー6と称賛されたSOHC 直6ですね。

ブラバム BT52にも積まれたM12/13型1.5Lターボエンジン。予選で5バール以上にブースト圧を上げたら馬力は1300psに達したがエンジンブロックが爆発して粉々になったとか、今のF1からすると考えられない逸話があります。

そしてM12/13型の原点、F2用のM10型エンジン。トランペット型のエグゾーストが時代を感じさせます。

マクラーレンF1(F1レースではなくゴードン・マレ設計の市販車)用の6L・V12エンジン。展示されていたのはそのレース仕様のようです。

2. 開発プロセス

1シリーズクーペのクレイモデル。

“clay”=まさに粘土を盛って削ったものです。

X5のものでしょうか、インテリアのデザイン検討用のモデル。

3. ホワイトボディ

6シリーズのもので、白い部分がアルミ、黒い部分は樹脂、グレーの部分はスチールだと思います。

4. 広告や資料

年代毎の広告です。

BMWジャパンの広告もありました。

一度だけ発行された航空機カスタマー向けマガジン。

1957年の生産計画表。エクセルなど無かった時代、一つ計算を間違えたら全部書き直し。さぞかし骨の折れる作業だったことでしょう。

ミュンヘンに行くなら是非!

ミュンヘンはロマンティック街道やノイシュバンシュタイン城を巡るツアーだとコースに組み込まれているパターンが多く、また、日本からの直行便もあるので訪れる日本人も多い都市かと思います。

BMW博物館は市内からのアクセスが良く、例えばツアーの自由時間に行って帰って来ることも可能かと思います。ミュンヘンに行く機会があれば是非訪れてみて下さい。BMWファンやオーナーでなくても楽しめます。

尚、マニア視点からの感想ですが、商業的には成功しなかったような迷車・珍車系の展示が殆ど無かったのが少々残念でした。

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